近年、コンビニエンスストアなどの小規模小売店は、多様化する消費者嗜好に対応するため、品揃えを拡大しており、その結果、商品カテゴリーごとの在庫管理単位(SKU)数が増加しています。しかし、小規模小売店の限られた棚スペースでは、戦略的なSKU最適化が不可欠です。本研究では、従来のBCGマトリックス(ボストンコンサルティンググループ)に購買エントロピーとSKU数という2つの要素を追加することで拡張した、新たな分析フレームワークを提案します。購買エントロピーは、各カテゴリー内のSKU間の売上分散を定量化し、市場シェアや成長率を超えた内部構造特性を評価することを可能にします。東京の大手コンビニエンスストアチェーン4社の1年間のレシートベースの購買データを用いて、提案されたマトリックスを適用し、カテゴリーレベルの売上構造を可視化し、チェーン間で比較しました。その結果、同一商品カテゴリー内であっても、購買行動とSKU戦略に大きな違いがあることが明らかになりました。この結果は、拡張されたマトリックスが商品カテゴリーのパフォーマンスを多次元的に可視化し、SKU構成と販売戦略に関するより情報に基づいた意思決定を促進することを示しています。このフレームワークは、小売店の管理者に、製品の多様性とスペースおよびパフォーマンスの制約とのバランスをとるための実用的なツールを提供します。